ここいらでちょっとHDキャプチャボードについて比較してみよう。
まずはスペックの比較から。
| 製品名 | PV3 | PV4 | Monster X | Intensity | Intensity Pro | HDRECS |
メーカー | アースソフト | エスケイネット | BlackMagicDesign | カノープス |
価格 | ¥27,825 (販売終了) | ¥19,740 9月上旬発売予定 | open 直販¥31,290 | ¥38,850 | ¥52,500 | ¥95,000 |
映像入力 | D端子(D4)×2 | D端子(D4)×2 | D端子(D4) | HDMI(D4) | HDMI(D4) コンポーネント(D4) | HDMI(D4) コンポーネント(D4) S端子 コンポジット アナログRGB |
音声入力 | SPDIF×2(2ch PCM) | SPDIF×2(2ch PCM) | RCAオーディオ(L/R) SPDIF(2ch PCM) | HDMI(2ch) | HDMI(2ch) RCAオーディオ(L/R) | HDMI(8ch LPCM) ステレオミニジャック |
A/D | AD9980 | AD9983 | AD9889+TDA9975 | AD9980 |
キャプチャ | 専用ソフト | 汎用キャプチャソフト | 専用ソフト 汎用キャプチャソフト | 専用ソフト |
ビデオ圧縮 | ハードウェア | ソフトウェア(RAW) | ソフトウェア(RAW) ハードウェア | ハードウェア |
接続 | PCI(33MHz) | PCI-Express(x1) | PCI-Express(x1)(PCI convert) |
対応OS | Win2000/XP/2003 | Win2000/XP | WinXP/Vista (64bit版対応中) | WinXP/MacOS X | WinXP/Vista |
大きく分けると、アナログ(コンポーネント/D端子)キャプチャのPV3/PV4/Monster Xとデジタル(HDMI)キャプチャのIntensity/Intensity Pro/HDRECSに分かれる。このうちIntensity Pro/HDRECSについてはアナログキャプチャも可能である。
デジタルでのキャプチャにおいては、著作権保護等の問題を除けば出力機器からの映像を完全に無劣化でキャプチャする事が出来る。この点が強みでもあり弱みでもある。
アナログキャプチャではデジタルには及ばないものの従来のコンポジットやS端子よりの入力に対してY/Pb/Pr信号でキャプチャできるためデジタルに近い品質でのキャプチャが出来る様になっている。
それらを踏まえて各キャプチャボードについて評価をしてみる。
●PV3/PV4
アースソフトから発売されたアナログハイビジョンキャプチャボードで、480i/480p/720p/1080iに対応する。D端子を2系統、SPDIF入力を2系統持っている。
ハードウェアにてDVエンコード支援(正確には拡張DV圧縮、DCT量子化)するため、色情報がやや劣化をするもののデータ量が1/10~1/20まで圧縮されるためにPCのスペックはそれほど高いものを必要としない。
また、価格が他のボードに比べてかなり安い事もあるので割安感がある。ただし、生産数が少ないために入手の困難性が高くオークションなどでは高価で取引されている。9月にPV4が発売されるがその生産数も非常に少なく(おそらく200にも満たない)直販のみでの販売となるため既に入手が厳しいと見られる。
PCとの接続はPCI33MHzであり、ロジックにXilinxのFPGAを使用している事からこの中でPCIコントローラを生成している。今はお手軽にPCIインタフェースを構築出来るようになったが、数年前にFPGAでPCIバスマスタコントローラを組んだ時はかなり死ぬ思いをしたなぁとかなんとか。
このPCIバス接続の問題もあるのか、データの圧縮が必要な様である。PCI-Express化がPV4でもなされていないのは価格的な問題ではないかと思われる。IP Coreを導入しようと思えばそれだけで数百万の費用がかかり、またPHYなども考慮しなくてはならない。Spartan3E/3Aではゲート数や速度的にぎりぎりになるためにデータ圧縮処理ともに入れようとするとより規模の大きなFPGAにする必要がある為、少量生産のPV4では価格が倍近くになる事が想定される。HDRECSが高価なのもその問題があるためだ。そういう意味ではPV3で実際に余ったゲートの分がある為にPV4ではゲート数の少ないデバイスに変更し、価格を下げたという点は正しい判断だったと思う。
性能から考えれば十分に安いと言えるのがこのボードの大きなウリではないかと判断される。
●Monster X
Monsterシリーズのキャプチャボードを販売する、エスケイネットから発売されたアナログハイビジョン入力ボードで、480i/480p/720p/1080iに対応する。D端子とSPDIF入力とRCAオーディオ入力を持っている。
ハードウェアでは特にA/D変換しか行わない為、PC側のソフトウェアにてエンコードを行う。PICVideo MJPEGが付属するが、huffyuvやFastCodecを用いれば劣化無しでキャプチャをする事が出来る。しかしこの為には高速なHDDが必要なためPCのスペックの高いものを要求する。PICVideo MJPEGでも十分な画質を得られ、こちらであれば一般的なPCのスペックでも問題無いため特に画質にこだわる人以外はこちらも良いだろう。
ボードの価格はまぁ普通で可もなく不可もなくと言ったところ。PICVideo MJPEGのライセンスの関係で長期間(数年)に渡っての販売が無いために限定販売という形を取っているが当初1年程度は問題なく販売されるだろう。バルク扱いの為故障以外のサポートを受けられないので扱えるスキルが無い人にはあまりお勧めは出来ないが、標準ソフトでハードウェアに対して細かい設定をする事が出来る通好みな部分も持っている。
PCとの接続はPCI-Express(x1)であり、PHY内蔵のブリッジチップを使用しており最大限のバス速度を得られる様になっている。このためRAWデータでPCに取り込む事が容易に出来る。
標準のアプリケーションでは公式にキャプチャ機能を持っていないため、そのままではプレビューしか行う事が出来ない。しかしhunuaaなどの外部のキャプチャソフトを利用すればその問題は解消される。
またボード上にSPDIF入力とRCAオーディオ入力は標準のアプリケーションでしかサポートしていないため、hunuaaなどの外部のキャプチャソフトを使用する際にはオンボードもしくは別途サウンドカードからの音声入力を行う必要がある。
このボードのウリは可逆codecによる無劣化キャプチャであるが、PCのスペックを高いものを要求するのでマニア向けの製品となる。
なお、発売当初問題になっていた黒潰れに関しては2007/08/03リリースのドライバにて解消されており、付属アプリで自由に設定可能なために色に関する問題は解消されている。
●Intensity/Intensity Pro
本来業務用向けの製品で、BlackMagicDesignより発売されているデジタルハイビジョンキャプチャボードで、480i/480p/720p/1080iに対応する。IntensityではHDMIに、Intensity ProではHDMIの他にコンポーネントとRCAオーディオ入力を持つ。
ハードウェアでは特にA/D変換しか行わない為、PC側のソフトウェアにてエンコードを行う。huffyuvやFastCodecを用いれば無劣化でデジタルキャプチャを行う事ができる。当然ながら要求するPCのスペックは高くなる。またWindowsだけでなくMacOSにも対応するのが特長である。
Intensity Proのコンポーネント入力に関してはA/Dのゲイン設定の問題で白飛びが見られる。結線上に改造を施す事で(ボードは改造しなくてよい)解決されるが、専門知識が無い場合はHDMIのみでキャプチャのIntensityをお勧めする。
ボードの価格は中の上くらいでIntensityとIntensity Proのどちらを選択するかによって分かれる。HDMIで考えるのであればHDRECSとの比較で価格的に有利だが、コンポーネントで考えるのであれば白飛び対策の手間もあり、PV3/PV4/Monster Xを選択した方が無難だろう。
PCとの接続はPCI-Express(x1)であり、PHYは多分外付け。FPGAの中にコントローラが(IP Core)入っていると思われる。最大限のバス速度を得られる様になっているので、RAWデータでPCに取り込む事が容易に出来ている。
●HDRECS
カノープスから発売されたデジタルハイビジョンキャプチャボードで、480i/480p/720p/1080iに対応する。HDMIからのデジタルだけでなく、コンポーネントやSビデオからのアナログ、更にアナログRGBからのPC画面のキャプチャにも対応する。音声はHDMIおよび、ステレオミニジャックからの入力を持つ。
ハードウェアにてエンコード(
Canopus HQ Codec、輝度情報圧縮)するため、輝度情報が劣化するもののデータレートを各自設定できるためにPCのスペックに合わせる事ができる(圧縮率を指定する事で極めて低劣化にする事も可能ではあるがその代わりPCのスペックを要する)。
多くの入力系統をもち、デジタル・アナログの両方でキャプチャ可能であるが専用ソフトのみという仕様であり、また価格も他のボードから群を抜いて高い事が難点である。
価格の面を除けば全体的に見て不可は無いので、完全無劣化にこだわる人を除けば予算のある限り選択肢となり得る。
PCとの接続はPCI-Express(x1)であるが、PCI9056とPCI8111を搭載しているのでインタフェースとしてはPCI66MHzとなる。PCI-Express(x1)にバス変換をしてPCI帯域の競合を避けていると思われる。しかしバス変換である以上はPCI66MHzの速度が限界となるが、そこはハードウェアによるエンコードによってデータ量を削減する事で解決している(実際の所、PCI帯域は足りており、メモリ帯域が足りないのだが)。
色々ごちゃごちゃ付いているせいか、Virtex4という高いFPGA(軽く万超えます)を使う事になっており、これがそのまま値段に跳ね返っている感じがする。機能縮小した廉価版があれば良いのだけど、なかなか手の出せる値段では無いかな。
総合評価(筆者主観)
| 製品名 | PV4 | Monster X | Intensity | Intensity Pro | HDRECS |
価格 | ◎ | ○ | ○ | △ | × |
デジタル画質 | - | - | ◎ | ◎ | ○ |
アナログ画質 | ○ | ◎ | - | ○ (改◎) | ○ |
環境 | ○ | △ | △ | △ | ○ |
難易度 | 易 | やや難 | やや難 | やや難 | 易 |
結局の所、どこに重みを置くかで変わってくると思う。ハードウェア圧縮による劣化を嫌がるのであれば、Monster XかIntensity Proしか選択肢は無いし、ハードウェア圧縮を気にしないのであればPV4かHDRECSになるし、でも入手競争してでも安い物って考えればPV4で、確実に買えるなら金銭問わないならHDRECSを選ぶと。
まぁ賛否両論あると思うので、意見とか間違い表記とかあったらコメント下さいな。
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